幼い子の子育てに悩む、子どもの将来の可能性を広げたいと考えている親御さんにこそ手に取ってほしいと本があります。
小3までに育てたい算数脳
小学3年生(9歳)までに育てておきたい、子どもの「算数脳」を家庭や遊びを通じて育成することを目的とした本です。
「算数脳」とは、計算の速さや正確さではなく、考える力やひらめき力を育てること。
本書では、この2つの力を、小3・9歳までに基礎として育てることこそが、将来の思考力の差につながると説いています。
この本について、詳しく解説します。
”小3までに育てたい算数脳”はどんな本?

この本が書かれたのは2005年。
かなり前に書かれた本にもかかわらず、今も版を重ね続けているロングセラーです。
子育ての環境も考え方も大きく変わった今、読みながら「古いな」と感じるもあるのですが、この本には、変わらない“子どもの思考の土台”に関する本質的なヒントが詰まっています。
「算数脳」を構成する2つの力とは?
「算数脳を持つ子」って、どんな子だと思いますか?
暗算が速い子?難しい問題をスラスラ解ける子?
じつは、“算数脳”とはそういう能力のことではありません。
図形をイメージしたり、問題の意味をじっくり考えたり、自分で筋道を立てて答えを導き出す――
つまり、その「考える力」こそが、これからの学びの土台になる“算数脳”です。
- 見える力(=ひらめきの力、直感力)
図形センス、空間認識力、試行錯誤力、発見力など、視覚的・直感的に問題を「見通す」力 - 詰める力(=ひらめきの力、直感力)
論理性、要約力、精読力、意志力など、じっくり読み、考え抜く力
算数力を伸ばす鍵は「外遊び」と「家庭の言葉」
『小3までに育てたい算数脳』で繰り返し強調されているのは、机の上の学習だけでは算数脳は育たないということ。
子どもの思考力やひらめき力を育てるには、以下の2つが欠かせないとしています。
自然や遊びの中で体を動かすことで、空間認識力や図形センス、試行錯誤力が育ちます。
鬼ごっこ、木登り、段差ジャンプ、ブロック遊びなど、自分の身体と頭を同時に使う経験が、算数的思考の土台になります。
本書にはこのように書かれていますが、現代の子育て環境では物理的・時間的にハードルがありますね。
本質は、「体と頭を同時に使う経験」を、日常の中で少しずつ取り入れることです
日常会話の中で、子どもが自分の考えを言葉にしたり、問いを投げかけられたりすることで、論理力・要約力・思考の粘りが育ちます。
また、親の何気ない言葉かけが、子どもの「考えようとする意欲」に大きな影響を与えるとしています。
【現代版】体と頭を同時に使う経験について
今の子育て環境では、毎日外で思い切り遊ばせるのは難しい。
時代にあった、体と頭を同時に使う経験について考えてみました。
レゴ・プラレール | 空間の構造やバランスを考える力 |
折り紙・あやとり | 手順の記憶、空間認識、論理的思考 |
迷路・パズル | 試行錯誤力と視覚的判断力 |
料理・お菓子作り | 手順・分量の理解、温度や時間の調整 |
トランポリン・バランスボード | 平衡感覚と空間認知の連携 |
クライミングジム | 経路を考えながら体を動かす |
大型遊具・アスレチック施設 | ルート選択や判断を伴う動き |
ストップ&ゴー系の遊び | 反応力と状況把握力 ※”だるまさんが転んだ”など「止まる」「動く」を瞬時に判断して体をコントロールする遊び |
この本から私が学んだこと、そして伝えたいこと
「算数脳」とは、子どもが将来、自分で考え、選び、決断し、乗り越えていける人になるための“根っこ”のようなもの。
けれどそれは、決して「きれいごと」ではなく、中学受験や学校の勉強で“算数が得意な子”になるための土台そのものだと、本書は教えてくれます。
実際、図形を頭の中で回したり、問題文の意味をすばやく読み取ったり、考え方を整理して式に落とし込んだりする力――
どれも、受験算数に必要な「思考力」です。そしてこれらの力は、計算ドリルや暗記よりも、もっと早い段階で育ち始めるもの。
本書では、外遊びやブロック遊び、親との会話の中で、図形センスや空間認識、試行錯誤のクセを自然に身につけることの大切さが語られています。
つまり、「机に向かう前の準備体操」が、すでに算数力の差を生み始めているのです。
私自身、早くから勉強させなきゃ…と焦っていた時期がありました。
でもこの本を読んで、「考えるって面白い」と思える体験を積み重ねることが、後の伸びにつながることに気づきました。