「勉強が苦手な子に中学受験なんて無理じゃない?」
そう思うご家庭は多いのではないでしょうか。
でも実は、できない子だからこそ、中学受験を通じて「努力の仕方」「正しい勉強法」を身につけるチャンスになることがあります。
とはいえ、やみくもに受験させれば良いわけではありません。
子どもに合った環境や目標設定、親のサポート次第で、受験は「自信を育てる経験」にも「失敗体験」にもなり得ます。
この記事では、勉強が苦手な子でも中学受験を成功に導くためのポイントを解説します。
※かなり長い記事になっていますので、目次を活用して、何回かに分けてお読みください。

mom
難関校だけじゃない!偏差値50以下の魅力的な私立中学
中学受験といえば、高い偏差値の学校に目が行きますが、偏差値50以下の学校でも、素晴らしい学校がたくさんあります。
たとえば、「玉川学園中学部」は広大なキャンパスと探究型の教育で知られ、「自由学園」は生活全体を学びにする独自の教育方針が特徴です。
「ICU中等部」はリベラルアーツ教育と英語教育が充実し、「アサンプション国際中学校」や「京都文教中学校」も、英語や基礎学力をしっかり育てる環境が整っています。
偏差値では測れない「環境」や「教育方針」が、その子に合えば、大きく成長できる場になります。
勉強が苦手な子に合う学校の特徴
私立中学には、
- 学び直しや基礎学力の定着に力を入れている学校
- 探究型学習や英語教育に特化した学校
- のびのびとした校風で自己肯定感を育むことを大切にしている学校
など、特色はさまざまです。
特に偏差値50前後の学校には、「勉強が苦手だからこそ伸ばす」指導やサポートが充実しています。そのため、今の成績に関わらず、入学後にぐんと成長する子も少なくありません。
なぜ中学受験をするのか?公立中学と私立中学の違いを知ろう
中学受験をするかどうかは、「今の成績」だけではなく、公立と私立の違い、子どもの性格や家庭の方針に合っているかを考えることが大切です。
以下の表で、公立中学と私立中学の違いを整理してみましょう。
項目 | 公立中学 | 私立中学 |
---|---|---|
学習環境 | 生徒の学力の差が大きく、 学力別の指導は限定的 | 教育方針が明確で、 学力層がある程度揃う |
指導者の質 | 普教員の質に差があり、 手厚さは、学校により異なる | 面倒見が良く、指導が 手厚い学校が多い傾向にある |
進学実績 | 高校受験が必須 | 高校受験なし、 大学付属なら内部進学も可 |
部活動・行事 | 学校や部活により違いあり | 伝統や、学校の看板となる部活あり 指導が手厚い学校が多い傾向にある |
学費 | 安価 | 年間約70万〜150万円+施設費など 奨学金を活用すると費用は抑えられる |
中学受験をするかどうかは、「学力」や「経済面」だけでなく、子どもの性格や家庭の方針、どんな環境で育ってほしいかを基準に考えることが大切です。
- 集団のペースに合わせるより、自分に合った指導が必要な子
- 自信を失いがちで、公立の多様な学力層に埋もれそうな子
- 特定の教科や分野に興味があり、私立の特色ある教育で伸ばしたい子
- 高校受験で苦労しそうだから、中高一貫で学力の土台を固めたい
- 自らコツコツ努力できる
- 地元の友達と通いたい
- 学費負担が難しい
- 高校受験で志望校をじっくり考えたい
公立中学は、地元の友達と過ごしながら、地域に根差した環境で成長できる良さがあります。一方、私立中学は、教育方針や学習環境が整っており、手厚い指導や特色ある教育を求める家庭には魅力的な選択肢です。
勉強が苦手でも、私立中の環境が合えば「学び直し」や「自信の回復」につながることもあります。
まずは、公立・私立の違いを踏まえたうえで、「なぜ受験させたいのか」「どんな中学生活を望むのか」を親子で考えてみたください。親子での話し合いが、失敗しない中学受験の第一歩です。
中学受験は「努力の習慣」をつける絶好のチャンス
中学受験は、「できない子からできる子へ変化する」可能性を持っています。
勉強の苦手なお子さんにとっての中学受験のメリットについて考えてみました。
スポーツや芸術は、センスや「好き」という気持ちがないと続けるのが難しく、苦手意識のある子はなかなか上達しません。
一方で勉強は、「やった分だけ伸びる」要素が強い分野です。
中学受験の勉強は、模試や確認テストを通じて「成果が数値化される」特徴があります。
これが、スポーツや芸術とは違う大きなポイント。
点数や偏差値として目に見える形で成長が実感できるため、小さな成功体験を積み重ねやすいのです。
今まで、得ることができなかった「頑張ったらできた!」と言う体験や、「前より点数が上がった」「苦手だった単元が解けるようになった」といった経験が、勉強へのモチベーションを高め、さらに努力する力につながっていきます。
この「努力すれば結果が出る」「結果が自信につながる」サイクルは、「できない」を「できる」に変える力を育てるものであり、人生において大きな財産となるスキルです。
中学受験は、そのサイクルを経験し、身につけるための絶好のきっかけになると言えるでしょう。
勉強ができなかったのは勉強の仕方を知らなかったから
勉強が苦手な子の多くは、「才能がない」「頭が悪い」わけではありません。
単に「どうやって勉強すればいいのか」を知らなかっただけというケースがほとんどです。
社会人になった息子がある日、「中学受験させてくれてありがとう」と言ってきました。
闇雲に努力ではなく、ゴールを決めて、逆算してすべきことを洗い出し、実行することで必ず結果が出る、信じられる努力の仕方を学んだ
中学受験で、勉強の仕方を学び、その経験が大学受験、TOEIC、就職試験などあらゆる場面で役立ったといいます。
小学生は、まだ本格的な反抗期の前の素直な時期です。
この時期は、親や先生の言葉に耳を傾けやすく、教えられたことを素直に受け入れる力があります。
だからこそ、正しい勉強の仕方を身につけるには、小学生のうちが最も効率的。
このタイミングで「どうやって勉強すればいいのか」を教えてあげれば、無駄な遠回りをせずに、効果的な学びの習慣が自然と定着していきます。
失敗しないために親がすべきこと
中学受験成功の鍵は、子どもの性格や学力、興味に合った学校を選ぶこと。
目標が子どもに合っていないと、勉強自体が苦痛になり、途中でやる気を失ってしまうからです。
無理に高い偏差値を目指すのではなく、「入った後にどんな成長ができるか」を基準に学校を選んでみてください。
偏差値の数字だけでは、その学校の実態はわかりません。
勉強が苦手な子には、面倒見の良さや補習・フォロー体制が整っている学校の方が、安心して学べます。
少人数制や、先生との距離が近い学校であれば、わからないことをそのままにせず、理解を深めやすいからです。
受験だからといって、毎日何時間も勉強を詰め込むのは逆効果です。
子どもの体力や集中力には限界があり、オーバーワークは勉強嫌いを加速させます。
現在の学力とかけ離れていない学校を選ぶなら、集中した時間を積み重ねれば十分効果が出るため、無理のないスケジュールでの中学受験が可能です。
親が心配になる気持ちは当然ですが、過干渉や叱責は子どもの自信を奪い、プレッシャーにしかなりません。
実際、我が家がそうでした。夫の過干渉が、息子のやる気を奪い、中学受験をやめるところまで行きました。以後、夫は関わらず、本人の意思を尊重し、いつでも辞めて良い環境にシフトしたことで、何とか最後まで走り続けることができました。
必要なのは、進捗の確認や励まし、時に一緒に課題に向き合う「伴走者」としての姿勢です。
「あなたならできる」と信じる親の態度が、子どもを安心させ、最後まで頑張る力になります。
経済的な負担が心配なら、奨学金制度を検討しよう
私立中学は学費が高いため、受験をためらうご家庭も多いでしょう。
ですが、私立中学には奨学金制度を設けている学校があり、入学金や授業料が一部または全額免除されるケースがあります。
成績や家庭の収入条件によって利用できる制度もあるため、事前にしっかり確認することが大切です。
- 学費負担が軽減され、経済的な不安が少なくなる
- 奨学生として認められることで、子どもの自信や励みになる
- 学力条件がある場合、努力する明確な目標ができる
- 学費が免除されても、私立は「その他の費用」が多い
制服代、カバン、指定の靴、修学旅行や研修費用、部活動費、寄付金、夏期講習など、公立より高額な負担が発生しやすい点は注意が必要です。 - 成績条件がある場合、成績が落ちると奨学金が停止されるリスクがある
- 応募者が多いと、採用されない場合もある
奨学金だけに頼るのではなく、その他の支出も含めた全体の負担を把握したうえで、進学先を検討することが重要です。
どうしても不安な場合は、通学の交通費や制服代の補助など、自治体の支援制度がないかも併せて調べておきましょう。
無理のない範囲で、経済的支援を上手に活用すれば、私立中学への進学も現実的な選択肢になります。
まとめ|「できない子」でも中学受験はチャンスになる
中学受験は、「努力の習慣」や「正しい勉強の仕方」を身につける絶好の機会です。子どもに合った学校や環境を選び、親が無理なく伴走すれば、子どもを大きく成長させる経験になります。
「勉強ができる、できない」は関係ありません。
「うちの子に受験は向いているだろうか?」と迷う方こそ、まずは学校の特色や支援制度を調べ、子どもに合った道を一緒に考えることから始めてみてください。
私立中学でも奨学金制度を活用すれば、経済的負担を軽減することも可能です。
中学受験は、合格することだけがゴールではありません。
受験までの過程で「できなかったことができるようになる経験」は、子どもの自信と可能性を広げるでしょう。
最後に、中学受験の必要性、私立・国立・公立の違い、費用や塾の種類など「まず知っておきたい基本情報」から親がどんな覚悟や準備をしておくべきか、共働き家庭はどう乗り越えているか、リアルな悩みに寄り添った本を紹介します。