「中学受験をするなら、低学年から塾に通わせるべきか」
そんな悩みを持つ親御さんも多いのではないでしょうか。
私は、息子やその周囲の子どもたちを見ながら、ふと考えることがあります。
中学受験のために早くから勉強に力を入れた子は、その後どう成長していくのか
子どもたちの同級生や同世代のそれぞれの歩みを見ていると、勉強だけでは見えない「その子らしさ」や「自分を支える力」が、思春期以降の成長に深く関わっているように感じます。
勉強以外にも夢中になれるものや、自分なりの楽しみを持っている子の方が、その後もバランスよく成長していると

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中学受験後、夢中になるのは「自由時間」だった
「ゲームは禁止」「塾と勉強が最優先」
そうやって小学校時代を過ごしてきた子どもが、受験が終わった途端にゲーム漬けになってしまう──これは決して珍しい話ではありません。
たとえば、ある男の子A君。
小4でサッカーを辞め、受験勉強一本に。
合格のご褒美としてゲームを手にした途端、その面白さに夢中になってしまいました。夜中にこっそり遊ぶほどのめり込んでしまい、せっかく合格した中高一貫校でも成績が急降下。
気づけば、親子で「このままでは…」と頭を抱える日々に。
これは、「制限されてきたからこそ、解放された時に歯止めが効かなくなった」一つの例です。
習い事や趣味が「自分を支える軸」になる
一方で、勉強と並行して習い事や趣味を持っていた子は、その後も自分の軸を持ち続けています。
たとえばB子さん。
ピアノが好きで、受験後すぐに再開し、合唱部の伴奏者に。
音楽で評価される経験が自己肯定感を高め、「努力すれば実現できる」という自信を育みました。
その気持ちが勉強にも良い影響を与え、大学受験や就職活動でも高い目標に挑戦。大学受験では思うようにいかず、浪人を経験しましたが、その後も努力を重ね、結果的に、念願だった総合商社への就職も叶えています。
好きなことに打ち込んできた経験が、受験の先の人生を支える力になるのです。
ゲームに夢中だった子のその後──やり直す力も育つ
ところで、A君にも後日談があります。
中学時代は成績がふるわなかったものの、高校で「このままではまずい」と自ら気づき、一念発起。
自分の意志で勉強に向き合い始め、高3ではクラスで10番前後の成績をキープし、早稲田大学に合格しました。
大人になった今も趣味のゲームは続けていますが、社会人としてしっかりと働いています。
ゲームは、ただの「悪いもの」ではなく、彼にとっては「自分らしさ」や「癒し」を保つ大切な時間だったのかもしれません。
そして、この「ゲームが人生に与えた影響」は、実は私の息子にも当てはまります。
攻略本を読み込み、試行錯誤しながらクリアしていく過程は、ゴール設定をし、最短で目標達成するためにすべきことを考える力となり、受験や資格試験、就職試験でも活かされたと本人も振り返っています。
ただ遊んでいるように見えた時間も、決して無駄ではなかった。
趣味や遊びの中でも、「考え抜く力」や「目標達成の方法」を身につけていくことができる─
そう実感させられた出来事でした。
【結論】低学年から塾は必要?
結局、「低学年から塾は必要なのか」という問いに、正解はありません。
「中学受験のための勉強だけしかやらない子は、中学に入ると苦労する」
と思われがちですが、
挫折や寄り道があっても、人はやり直せる
好きなことに夢中になる時間。
何かに打ち込んで努力し、挫折し、また挑戦する経験。
それが、子どもが自分で自分の人生を立て直す力につながるのだと子どもたちの歩みを見て思いました。
子どもの性格や成長のタイミングによって、塾へ行く時期は異なります。
低学年から通うことで、正しく基礎を積み上げることや勉強の習慣を、勉強の仕方を学ぶことが、その後の選択肢を広げることもあります。
ただ、言えるのは、
勉強だけに偏らせないこと
子どもの好きなことに夢中になる時間を尊重することです。
親ができるのは、塾に通わせるかどうかを決めることだけではなく、
- この子は何に夢中になっているのか
- そこにどう寄り添うか
について、考えること。
この視点を持っていれば、受験という一時の目標だけでなく、
子どもが自分の人生を歩んでいく力を育てる手助けになるのではないかと思いました。