【中学受験】御三家に向く子・向かない子|合格のその後に不登校も?親が知っておきたいこと

努力を重ねて御三家に合格したものの、入学後、学校の雰囲気になじめず、不登校になってしまうお子さんもいます。
苦労してつかんだ合格でも、「その学校がその子に合っているかどうか」で、その後の生活は大きく変わります。

だからこそ、「合格できるか」ではなく「お子さんに合った環境かどうか」を軸にした志望校選びが何より大切です。

この記事では、「合格できるか」ではなく、
「合格したあと、その子が自分らしく過ごせるかという視点から、”親として知っておきたい”御三家との相性についてお伝えします。

頑張れば、合格できる─御三家合格に共通する力とは?

  1. 解き方だけでなく、「なぜ?」を考える思考力。
  2. 間違えてもやり直す、粘り強さ
  3. 勉強を“自分のこと”として取り組める姿勢
  4. 親が優秀な伴奏者
  5. 生活リズムが整っている
  6. 遊びと集中の切り替えが上手い

など、子どもの資質以外にも家庭環境や習慣などが、御三家合格者の共通点として挙げられます。

合格=幸せじゃない─御三家には、それぞれの“色”がある

「せっかく合格したのに、学校が楽しくない」と感じてしまうお子さんが、残念ながらいらっしゃいます。なぜでしょう。

御三家にはそれぞれカラーがあります。たとえば…

開成自由な校風、自主性重視。競争にも強い子に向く。
麻布個性・表現・探究重視。知的好奇心が強く独創的な子に向く。
桜蔭努力家・優等生タイプに合うが、精神的に強さも必要。
女子学院自由・多様性重視。共感力よりも自分の軸がある子が向く。


例えは、一見、自由なカラーは理想的と思われますが、実はこの“自由”が、不安や戸惑いにつながるお子さんも少なくありません。

合格できる力があることと、その場所でのびのび学生生活ができることは別物です。

例えば、その先の、東大を目差したいのであれば、進学率ではなく、心が安定して状態で勉強ができる環境であるかが重要になってきます。

これは、偏差値だけでは見えない、とても大切な視点です。

合格したけれど、なじめなかった─その子にとっての“壁”とは?

  • できて当たり前の雰囲気
  • 違和感を口にできない思春期の親との関係
  • 人間関係の距離感─「いじめじゃないけど、つらい」感情

できて当たり前の雰囲気

御三家のような学校に入ると、多くの子が「できる」ことが前提で生活しています。 授業についていくのは当たり前、自分の意見を持っていて当然、課題も自己管理で進める── そんな空気の中で、「できない」と口にするのは、なんとなく“負け”のように感じられることもあります。 それでも、そうした環境を「刺激的で楽しい」と感じて前向きに取り組める子もいれば、 徐々に自信をなくし、「ここは自分の居場所じゃない」と感じてしまうお子さんもいます。

違和感を口にできない思春期の親との関係

親との距離を置きたくなる時期、それまで勉強を支えてくれていた親の存在を、急に“うっとうしい”と感じはじめます。親との距離をとりたい気持ちと、実は助けを求めたい気持ちの間で揺れ動き、学校での違和感やつらさを、うまく言葉にできないまま抱え込んで学校へ行くのが辛くなるお子さんもいます。

人間関係の距離感─「いじめじゃないけど、つらい」感情

高い学力を持つ子どもたちが集まる環境では、自己主張の強さや個性のぶつかり合いも日常です。 友人関係の中で感じるちょっとした言葉や態度── それが「いじめ」と明確に呼べるものではなくても、本人にとっては十分に心を傷つけるものになることがあります。

また、先生との相性や指導スタイルが合わず、「わかってもらえない」と感じて心を閉ざしてしまうこともあります。 周囲は気づかない。でも本人は「ずっと我慢している」。 そんな状況が続くと、学校全体が“怖い場所”に感じられてしまうこともあるのです。

御三家に“向いている”のは、どんな子?

ここまで見てきたように、御三家に合格できる子には確かな学力や努力、そして家庭のサポートがあります。 けれど、その学校でのびのびと6年間を過ごせるかどうかは、また別の力─その学校の「カラー」と、自分の気質や心の軸が合っているかが大きく関係します。

御三家共通カラーから見る「御三家に向く子」の共通点

  • 自分のペースや判断軸を持ち、周囲に振り回されない
  • 自由や競争を前向きに楽しめる
  • 勉強を“与えられたもの”ではなく“自分の探究”として楽しめる
  • 完璧でなくても「まあいっか」と切り替えられる柔らかさ

同じ「壁」に直面しても、それを乗り越えられる子と、乗り越えきれず苦しくなってしまう子がいます。
その違いは、本人の努力不足ではありません。
むしろ、繊細で、空気をよく読み、がんばり屋であるがゆえに、誰にも頼れず心が折れてしまうこともあるのです。

じゃあ、どうすればいい?

子どもが御三家を目指すとき、まず大切なのは「合格できるかどうか」よりも、

その学校で、その子が“自分らしくいられるか”を見つめることです。

それは「向いていないから諦める」という意味ではありません。 どんな子でも、自分に合った環境や支えがあれば、ちゃんと花を咲かせることができます。

だからこそ、親としてできるのは─

  • 偏差値だけでなく、学校の雰囲気や自由度、人間関係の傾向を知ること
  • 子どもの気質や疲れやすさ、自己表現のスタイルを知っておくこと
  • 合格がゴールではなく、入学後も一緒に見守る姿勢を持ち続けること

もし不登校になったら─持っておきたい視点

不登校は「失敗」ではなく、その学校が合わなかったというサインかもしれません。

「合わなかっただけ」のことなので、それは子どもが悪いわけでも、親のせいでもありません。

学校に行けなくなると、子どもは自分を責めしまいます。

だからこそ、こんなふうに声をかけてあげてください。

「行かなくていいよ。大丈夫。あなたがちゃんと元気になるまで、ここで待ってるよ」

ますます心を閉ざしてしまわないように─

大切なのは、「行かせること」よりも、子どもが安心して気持ちを回復できる環境を整えることです。一度立ち止まっても、子どもの人生はそこからまた、ちゃんと進んでいきます。

最後に|御三家に向いてないと感じたら

「向いていないかも」と感じたときこそ、その子にとって本当に合う場所を見つけるチャンスです。

大切なのは、“御三家に入ること”ではなく、その子が自分らしく育っていける場所に出会えること。

親としてできるのは、偏差値では測れない「その子らしさ」に、静かに耳をすませてあげることなのかもしれません。

御三家を狙うご家庭に役立つ本