6年後半から失速した場合の中学受験

失速の背景にある3つの原因

中学受験が迫る6年後半になって、思うように成績が伸びない…

「何か間違っていたのかな?」「今のままで受かるの?」と、不安と焦りで頭がいっぱいになりますよね。

この時期の「失速」は珍しいことではありません。原因はお子さんに合わない学習環境や勉強の進め方にあるかもしれません。

実は、我が家もこの「失速」を経験しました。でも、そこから何を見直すべきかを考え直し、必要な対策を一つずつ積み重ねることで、第一志望に届いたのです。

この記事では、そのときに我が家が見直した「失速の原因」と「立て直しのための具体策」をお伝えします。

かなり長い記事になっていますので、目次を活用して、何回かに分けてお読みください。

ブックマークして、学習の参考に何度も繰り返し読むことをおすすめします。

中学受験「6年後半からの失速」の主な原因

6年後半に成績が伸び悩む背景には、実は構造的な理由があります。
我が家でも当時は気づいていませんでしたが、あとから振り返ると、次のような要因が重なっていたのです。

  1. 塾のシステム上、みんなが頑張ると偏差値は上がりにくくなる(相対評価)
  2. 努力と結果が噛み合わず、子どものモチベーションが下がる
  3. 失速は「やる気がないから」ではなく、「やり方や環境が合っていないから」起きる

では、それぞれの原因について、具体的に解説していきます。

1.|相対評価の壁、偏差値が上がらない仕組み

6年後半になると、塾は「合格実績を上げる」ために、どの生徒にも「今より上を目指そう」と声をかけます。
「あと5〜10偏差値を上げれば、もっと上の学校が狙えるよ」と言われるのは、特別なことではありません。

「みんなが励まされて真面目に努力すると、塾全体の平均点は上がります。そのため、相対評価である偏差値は、努力しただけでは伸びにくくなるのです。」

2.|努力しても結果に結びつかないジレンマ

真剣に取り組んでいるのに偏差値が上がらないのは、模試の内容とお子さんの得意・不得意がズレていることが理由の場合があります。

  • 得意な単元が出れば高得点になる
  • 苦手な分野が出れば、一気に下がる

こうした波が激しいテストで偏差値に一喜一憂してしまうと、本人のやる気を削いでしまうことも。

3.|本当の原因は「やり方」や「環境」

この時期の失速は、「本人のやる気が足りないから」ではありません。
カリキュラムが難しすぎる、あるいは逆に簡単すぎるといった、「勉強の環境や内容」が合っていないことがほとんどです。

だからこそ、親が焦って無理に頑張らせるのではなく、学び方を見直すことが大切なのです。

2タイプ別「失速パターン」とその立て直し方

6年後半に起こる「失速」には、大きく分けて2つのタイプがあります。
それぞれ原因も対処法も異なるため、まずはお子さんのタイプを見極めることが重要です。

1.|カリキュラムを消化しきれていないタイプ

こんな症状があれば要注意
  • 授業内容が難しくて、ついていけない
  • 苦手な単元が多く残っている
  • 模試で思うような結果が出ず、落ち込んでいる
  • 頑張っても偏差値が上がらない

このタイプの子どもは、目の前の勉強が理解できないまま進んでしまい、消化不良を起こしている状態です。

立て直しのポイント

あれこれ手を広げず、苦手分野に絞って対策

  • 「速さ」が苦手なら、速さだけを1週間徹底してやる
  • 「てこ」「随筆」「地理」なども、単元ごとに絞って攻略する

合不合の「偏差値」ではなく、「できなかった単元」に注目

  • 点数や偏差値は気にせず、「今、何が弱いか」に集中

塾を柔軟に使う

  • 苦手克服に専念したいなら、塾を一時的に休む選択肢もアリ
  • 家庭で復習時間を確保した方が成果につながる場合もあります

2.|カリキュラムが簡単すぎるタイプ

こんな症状があれば要注意
  • 塾では上位クラス、宿題もスラスラこなせる
  • でも合不合判定模試では思ったほど偏差値が伸びない
  • 難問に対する思考力が育っていない

このタイプは、塾のクラスや教材が本人の力よりも易しすぎるため、応用力が育たずに伸び悩んでいます。失速です。

立て直しのポイント

塾の先生に相談してみる

  • 上のクラスに上がれるか相談してみる
  • 難易度の高い問題集を個別に提案してもらう

応用力をつける学習にシフト

  • 四谷大塚・SAPIXなどの市販問題集、難関校の過去問などにチャレンジ

個別指導や家庭教師の併用も検討

  • 特定単元だけピンポイントで強化したい場合に効果的

補足

6年後半の塾は「総復習」に入っているため、授業が“自分に合っていない”と感じたときは見直しのタイミング。
「塾に行かないと不安…」という気持ちもわかりますが、目的は合格であって、塾に通い続けることではありません

今からでも間に合う「立て直し戦略」

お子さんがどちらのタイプに当てはまるかが見えてきたら、あとは具体的に「今、何をすべきか」に集中するだけです。


6年後半は時間が限られているからこそ、戦略的にやるべきことを絞ることが鍵になります。

1.|「やるべきこと」と「やらなくていいこと」を分ける

すべての科目・すべての単元を完璧に、というのは現実的ではありません。
この時期は、「やるべきこと」を見極めて、思い切って「やらないこと」を手放す勇気も必要です。

判断基準の一例

  • 志望校の過去問に出ない単元(詩・俳句など)→省略可
  • 苦手で頻出分野(速さ・てこ・記述読解など)→最優先で対策
  • 合不合で出たけれど志望校に出ない単元→割り切って良し

2.|苦手を「1つずつ潰して得意に変える」

中学受験の得点力は、「得意分野の幅」に比例します。
つまり、「苦手だけど頑張ったら解ける」分野を増やせるかがカギです。

具体的な取り組み方

  • 同じ問題を2〜3回繰り返すことで「感覚」を身につける
  • 1単元1テーマで区切って集中(例:社会の戦争、国語の随筆)
  • 得意になったら「次の苦手」へ移動、という小さな成功体験の積み重ね

「これだけはもう大丈夫!」と言える単元を一つずつ増やしていきましょう。

3.|過去問から“出るものだけ”に絞る

過去問は、志望校が「どんな力を求めているか」を教えてくれる宝の地図。
この時期は、過去問から逆算して勉強するのが最も効率的です。

取り組みのヒント

  • 問題を解くだけでなく、出題傾向を分析する目を育てる
  • 「何が出るか」だけでなく、「何が出ていないか」に注目
  • 志望校に出ない単元は“やらない”判断もOK

4.|周りに振り回されない

ここからは、第一志望だけを見て戦うという姿勢が大切です。

  • 合不合の偏差値に一喜一憂しない
  • 他の受験生との比較ではなく、志望校との距離感に集中
  • 必要があれば、塾を「休む」「補助的に使う」など、柔軟な使い方をする

この時期は特に、親の焦りが子どもに伝わりやすい時期でもあります。
だからこそ、戦略を持って「冷静に選ぶ」ことが、最後の追い込みで力を発揮するための土台になるのです。背景などを比較しながら覚える。

親にしかできない、たった一つの大事なこと

6年後半は、子どもにとっても精神的にきつくなる時期です。
努力しても偏差値が思うように上がらない。模試の結果に一喜一憂して自信をなくす…。
そんな姿を目の当たりにすると、親としても焦りや不安が募りますよね。

でも、そんなときこそ必要なのは──親の冷静さと安心感です。

子どもは親の「空気」を敏感に感じ取っています

  • 親が焦ってイライラしていると、子どもは「自分がダメだからだ」と受け取りがち
  • 逆に、親がどっしり構えてくれていると、それが大きな安心材料になる

この時期、子どもにとって一番必要なのは、「大丈夫、あなたは受かる」と言ってくれる存在なのです。

親の役割は“熱血指導者”ではなく、“よきペースメーカー”

  • やるべきことを一緒に整理してあげる
  • 勉強の段取りをサポートする
  • 気分転換や休息のタイミングを整える
  • 勉落ち込んだときに「一緒にやってきたから大丈夫」と声をかける

「信じて見守る」ことも、親にしかできない大きなサポートです。

最後に:6年後半からでも、ちゃんと巻き返せます

偏差値が伸びない、模試の判定が悪い──そんな壁にぶつかっても、そこで諦める必要はありません

  • 苦手分野をひとつずつ得意に変えていく
  • 志望校に必要な力にだけ集中する
  • 親がどっしり構えて、信じて見守る

こうして立て直していけば、6年後半の偏差値から5〜10伸ばすことも十分可能です。

わが家も、そうやって第一志望に届きました

失速して「もうダメかも…」と思った時期が、我が家にもありました。
でも、焦らず学習の質を見直し、必要なことに集中するよう切り替えたことで、
おそらく無理だと思っていた第一志望校に、無事合格できたのです。

あきらめず、信じて、やるべきことをひとつずつ積み上げること。
それが、合格への一番の近道です。

子どもを信じたいのに、心がざわつくときに読みたい本

今、受験で迷いや焦りを感じている方には、心が軽くなるだけでなく、「私たちは、ここからどう進むべきか」を優しく教えてくれる本を紹介します。

勇者たちの中学受験~わが子が本気になったとき、私の目が覚めたとき

「小学6年受験期の親子3組のリアルな体験を通して、受験の本質とは何か、家庭のあり方とは何かを問いかける一冊です。
想像以上に過酷で、時に苦しく、一転して心が震えるほどの本質を、小説のように読みやすく描いています。

物語の中で描かれる「勇者」は、偏差値の高い学校に合格した子ではなく、
「自分の意思で戦い、乗り越えた子どもたち」そして、「本気で向き合う覚悟を持った親」のこと

親の焦りや葛藤、子どもの反応などを赤裸々に描く描写が印象深く、受験中、精神的に追いつめられている親に気づきを与え得てくれます。